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サイドストーリー4
第16章 横浜ホールディング④
「経管は忙しいからなかなか会えなくて機嫌が悪くなるだろ?」
と、野口さんがため息をつきながら言った。
「え?野口さんの彼女もですか?」
「おう。帰りが遅いと機嫌悪いぞ!私が待ってるの分かってるでしょ!って」
「そうなんですよ!こっちは遊んでるんじゃないんだっていうのに」
「だよな~。のぞみちゃんなんか常務を見てて経管がどれだけ忙しいか分かってるはずなのに。
土曜日に休出だと機嫌が悪くなるんだよな」
「そうなんですよ!俺だって出たくて出てるわけじゃないのに!」
「花だって、一緒に映画を見に行って俺が疲れて寝ちゃうと『見に行かなきゃよかった』って
プンプンするからな」
「楠さんの奥さんもですか!俺もこの前それやって怒られました」

「女はさ、俺たちがどれだけ大変かなんか分かってないんだよな」
「そうなんですよ。どこも同じなんですね」
「同じだよ。俺たちの仕事がどれだけ大きいことやってるか
分かってんのか!って言いたいよな」
「そうですよ」
「美咲ちゃんなんか受付に座ってるだけでお給料がもらえるんだろ?」
「え・・・・」
「いいよな~。受付なんか楽そうでさ」
「いえ・・・あの」
「笑ってるだけでいいんだろ?定時に帰れるし頭使わないしな」
「いえ。あの!」

「「「なに?」」」

先輩たちが声をそろえた。

「受付って楽そうに見えて楽じゃないです。
主だった得意先の顔とお名前と役職はすべて頭に入っていますし、
その日のアポと、会議室では誰が入っているのかも頭に入っています」
「ふ~ん」

「会社の顔ですから、具合が悪くても、凹んでてもそれを表に出さないようにしなければいけないし
俺たちが思っている以上に大変だと思います」

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