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サイドストーリー4
第20章 悠久の恋の果てに
「マサに注意しておこう」
「いえ!いいえ・・・字が読めないのはあたしが悪いんですから」
「みさをは何も悪くないよ」

時代が悪いんだ。

そう口に出せない言葉を飲み込んで。

今日、いやみを言われた男との会話を思い出した。

「君たちは字が読めない者がいることすら知らない世界に生きているのか?」
そう言った彼の目は冷たかった。
もし、この正義感あふれる男と同じ境遇に生まれていたのなら
友になれたのだろうか。

「何の事だかわからないが、うちの者が世話になったのだったら礼を言うよ」
「・・・・髪をお団子にして。赤いカスリの着物の女の子だった」
みさを・・・か?

「これをその子にあげてほしい」
彼が差し出した物は小学校で習う、1番最初の教科書だった。

使いこまれていて、恐らく兄弟全員がこの教科書で勉強したんだろう。
一人が使った傷み具合じゃなかった。

この男が、みさをにこれをくれると言うのは一体どんな気持ちなのだろう。
きっと大切なものだからこそ、今でもとってあるのだろうに。

「気持ちはありがたく頂くよ。でもこれは頂けない」
「男爵家は使用人でさえ人から施しを受けてはいけないのか?」
ハッと、小馬鹿にしたように睨みつけた。

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