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兄の狂気
第4章 交 差
「…はぁ、」
またため息。
ダメダメ…幸せ逃げるわ。
すうっと深呼吸。
ふぅ、と心を落ち着かせ、これからのことを考える。
もう1回…告白、してみようかな。
ねぇ、瞳さん。
…俺を、選んで?
瞳SIDE
あたたかいシャワーのお湯を浴びながら、
自分の身体をぎゅうっと抱き締める。
どくん、どくん、と激しく鼓動する胸。
はぁ、とため息を吐き、ゆっくりと
顔を上げて鏡に映る自分の顔を見る。
…赤い。
真っ赤、だ…
あたし、こんな顔で哲平くんの前にいたの…?
思わず両手で顔を覆う。
何かが身体の奥からじわじわって込み上げてきて…
「…っ」
目の奥が熱くなった。
…哲平くん。
哲平くん…
あたし、あなたに抱かれたい…
あなたの”特別”になりたい…
なり、たい…
ぼろぼろと溢れてお湯に混じって
流れていくあたたかい涙。
お兄ちゃんのものじゃなく、
哲平くんのものになりたいよ…
きゅ、とシャワーのお湯を止め、
たっぷり張った湯船に足を入れる。
身体をそっと沈めて、ふぅ、と息を吐く。
静まれ、心臓。
何度か深呼吸して、ふと水面を見つめる。

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