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兄の狂気
第4章 交 差







「ありがとうございます。
瞳さん…覚悟しといてくださいよ。
…離せませんので」


にこ、と可愛い笑顔を向けて
お風呂場の扉を閉めた哲平くん。


ぱさ、と持ってた服を落としてしまう。


言われた意味を理解するのにしばらく時間をかけて…


ようやく理解して、最後の


「離せませんので」


がやけに頭の中でリピートされて顔が熱くなった。


ふらふらと後ずさって壁に当たり、
ずるずると座り込む。


膝に顔を埋めて、ぎゅっと目を閉じた。


ねぇ、お兄ちゃん…


ごめんね、あたし、


「お兄ちゃんのもの」


なんて誓えない…


ごめんなさい…あたし、彼が好きです。


哲平くんが…哲平くんの事が好きです。


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