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夢想姫の逃避録
第4章 乱れ咲き
ユウガに手を引かれて一緒に脱衣所に入った。
でも緋奈はユウガに背を向けた。
裸を見られるのはやっぱり恥ずかしい。
だけど……

「緋奈…脱がないの……?」
突然後ろからユウガに抱きつかれた。

緋奈の視線の先には洗面台の鏡があって、そこに上半身裸のユウガに後ろから抱きつかれてる緋奈自身が写って凄く照れた。
でも緋奈から見ても、自分の顔が暗いのが分かる。

「緋奈……ね……」
「うん……」
目を泳がせながら上ずった震え声で切り出すも、なんて言ったらいいかわからなかった。
時々、鏡の中のユウガを見ると、そんな緋奈にユウガは笑いかけながらも、優しい眼差しで鏡の中の緋奈を見つめていた。
その目はまるで、ゆっくりでいいよって言われている気がした。

だからゆっくり、話した。
「緋奈ね……ずっと暴力振るわれていたから……その…痣とか傷が……多いの…驚かないでね……」

緋奈を抱きしめるユウガの手が離れ、緋奈はワンピースをゆっくり脱いで、下着姿になった。
恥じらいとコンプレックス、ユウガに嫌われるんじゃないかという恐怖に耐えられなくなって、また俯いてしまった。

ユウガは何も言わなかった。
いや、何も言わずに全身傷だらけの緋奈を抱きしめた。

「ユウガ……」
「驚かないよ?緋奈の身体すっげえ綺麗だよ……?」
耳元で穏やかなトーンで囁かれた。
でも緋奈は首を横に振った。

だって、全身痣とか切り傷やかさぶただらけだから。
こんな醜い姿をユウガに見せるのが怖かった。

それでもユウガは抱きしめていた腕を解くと、緋奈の両手を握って、俯く緋奈の顔を覗き込み、優しく声を掛けてくれた。

「なんで?俺は緋奈の傷も痣も気にしないよ?」
「嘘……醜いこんな身体……正直抱きたくないでしょ…?ハッキリ言って良いんだよ……?みんな緋奈の傷だらけの腕とか足とか顔を見て気持ち悪がってるところあるから……だから……」
泣きそうになって声がまた震えているのが自分でもわかった。言葉が詰まる。どうしよう。涙が溢れ出してきた。
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