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十字路の上で
第1章 誰でもいいから
―――ふと目が覚めて、
白い壁に掛かる時計に目をやると6時13分。
梅雨入り宣言がされた今の季節は、6時を過ぎると外はもうすっかり明るく、東向きのこの部屋はカーテン越しにも熱い太陽の存在をしっかりと感じることができる。
朝の憂鬱は、夜の憂鬱とはまた違う辛さがある。
ゆっくりと気だるい体を起こすと、隣で寝ていた男が寝返りを打った。
「···ん?」
眉間にシワを寄せ、半開きの目でこちらを見る。
「···ごめん。起こした?」
無意識に掛け布団を胸元まで引き上げながらあたしは少しかすれた声で謝った。
「いや···なんか夢見てて···頭半分起きてた」
目をこすりながら答える姿は、普段大学で周囲に見せる姿とは違って少し可愛い。
「···あたしシャワー借りてくるね」
すっかり乱れてしまっている長いウェーブの髪に手櫛を通しながらベッドから出ようとすると、ぐいっと腕を引かれベッドに引き戻される。
「···っ」
その勢いで男の裸の上半身の上に倒れ込む形になった。
筋肉のついた、逞しい胸板に手をつく。