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十字路の上で
第1章 誰でもいいから

あたしは黙って前を向き直り、目を閉じた。


確かに…

あたしは彰人も褒めてくれるこの容姿のおかげで、男には困ったことがない。

街でも学校でもバイト先でも、どこでも声をかけられる。
大学に入ってからは目立たないように気を付けながら、数回会ってその気になれば関係を持つということを続けていた。

こっちに本気になりそうな相手は切っていき、いつのまにか今は彰人を含む固定の数人に落ち着いている。

その完璧に割り切った関係の相手の中でも、1番付き合いが長く体の相性もいい彰人とはいまは大学の先輩後輩として普通の友情もあって他の人達とは違う安心感がある。


彰人の存在は本当に大切。
いまさら離れることなど想像出来ない。


だけどそれでも、
特別なんかじゃない。


そっと、腰まで届くまだ半乾きの髪に指を通す。


愛なんてない。

愛なんていらない。

あたしを愛さないで。


結局はみんな一緒。
一緒よ…。


この寂しさを紛らわせてくれるのなら
あたしは誰でもいいんだから。





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