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十字路の上で
第2章 ありふれた日常

「でも確かに、ちょっと真実ちゃんに似てたよね」
「うん、模倣品って表現やっぱしっくり来てた」
「せやなぁ…」
終わったと思ったら春が蒸し返したので、俺は溜息をついた。
3人の言葉にご飯を頬張りながらそれ見ろとドヤ顔をする颯太に、真実も溜息をついて首をふり、ノートに視線を戻す。
「てか俺らの存在、なんかもう空気みたいやったな」
「しょうがないよ」
「俺達は外野だよ、がいや」
「この2人とおると俺の魅力がかすむわー」
「え、魅力?どこ??」
「馨、お前ほんまな…」
「それで邦彦、さっき言ってたダブルデートするの?」
完全にスルーして颯太が口を挟む。
「…デートじゃねぇし。向こうも社交辞令だろ」
「いやいや、結構本気っぽく見えたで〜」
「行かねぇよ、めんどくせぇ」
あの連れと仲良くして一体なんのメリットがあるのか。
「あのオンナは邦彦と真実をくっつけたいのよ」
「…は?」
「どうゆうこと?」
「真実がフリーの状態で彰人先輩の近くにいるのが落ち着かないのよ。決まってるじゃない」
「あーなるほど」
「…バカらしい。もういいからお前らさっさと食えよ」
颯太と関根の会話を遮り、箸で2人の定食をさした。
…俺と真実なんてあり得ない。
真実が俺を好きになることは絶対にない。
チラと真実に視線を向けると、目が合ったがそれは一瞬でスっと逸らされ、その顔は無表情にまた手元のノートに落された。
こいつには好きな人がいる。
心のどこかで鈍い痛みを感じた気がしたが、気付かないフリをした。
俺達の関係は腐れ縁の幼馴染み。
ずっと変わらない。
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