この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
曖昧なままに
第10章 密かに去って
 精子は愛美の目の前で吹き上がり、主に俺自身の腹の上に飛び散っていた。

「アハ、出てる出てる」

 愛美は右手の動きを緩やかに変え、残りの射精を誘ってゆく。

 その迸りが終わった後、竿の裏側を親指で強く絞るように下から上へグッと擦る。そして尿道に滲んだ精子の滴を、窄めた口でちゅっと吸い上げた。

 それから、白濁を浴びた俺の腹を見て――

「あーあ、またお掃除しなくちゃ。全く、世話の焼けるお兄ちゃんだ」

 と、ため息。その言葉通り掃除をするかのように、腹を舌を這わせて丁寧に舐めて取ってゆく。

「……」

 愛美の舌を感じながら、俺は気が抜けたように黙り、ただ白い天井を見つめていた。

    ※    ※

 俺は暫く、微睡の中にあったのであろうか。

「洋人さん……」

 その声を耳にして、俺はハッとした。

 いつの間にか掛けられていた毛布を剥ぎ取り、身体を起こすと声のした方を見る。

「!」

 そこに立っていたのは、もちろん愛美……だが。結んでいた髪を解き、部屋に来た時の服を着用。その表情も合わせ、すっかり普段の彼女の姿に戻っている。

「ああ、俺……寝てたのかな?」

「ええ」

「そっか……ごめん」

「いえ」

「……」

 正直言って、顔を合わせられなかった。アイナとしての彼女に対するバツの悪さもそうだが、愛美に戻ったことにより新たな気まずさも生じている。

「では、私そろそろ帰ります」

「あ、うん。そうか……」

 この一日は何だったのだろう。結局、俺は空回りし振り回されて。否、当然それは自業自得か……。

 状況は変わらず、寧ろ若干の悪化。それでもようやく愛美と話せる機会でありながら、俺は帰り行く彼女を黙って見過ごそうとしえいる。とりあえず今は、一人になりたいという気分を優先させていた。

 しかし――部屋を出ようとした時、愛美はふと足を止めそっと俺を振り返る。

「洋人さん」

「はい……?」

「その方と――お付き合いすれば、いいと思いますよ」

「え……」

 その方とはつまり、奈央のことなのだろう。どうやらアイナとその兄との会話は、愛美にも真実として受け入れられたらしい。だが、それなら――

「愛――」

「また、連絡しますから」

 引き留めようとする俺の声を打ち消すよう、微笑を向けた愛美はそのまま部屋を後にした。
/177ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ