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曖昧なままに
第12章 波乱の再会
 押し寄せていたあらゆる感情の波が、俺の中で一つに集約。すると突き抜けんばかりの快感が、俺の全身を一気に駆け巡った。


「うわあっ!」


 俺は愛美の頭を思い切り身体に引き付けると、深く喉の奥まで己を差し込む。そして、達した最深部に於いて、先端から激しい迸りを放ち尽くしていた――。

 ドク、ドク――と次々に注ぎ込みながら、徐々に正常に戻ってゆく意識。その刹那に湧いて混ざり合う、罪悪感と背徳感――。

「あ……ああっ」

 俺は慌てて――愛美の頭を解放していた。

 すると――

 ――ゴクン。

 苦しい様子も見せずに、愛美は喉を鳴らして放出液を飲み下す。

 そして――顔を上げて俺を見つめた。

「……!?」

 その時の表情は、とても不可思議なものだった。恍惚に酔い色香を漂わせつつも、何処かあどけない少女を思わせている。口から白濁と唾液を流して尚、その笑顔は純真そのものに思えた。

 そんな顔で眺めると、愛美は俺にこう訊ねた。

「愛美……上手に……できた?」

「え……?」

「褒めて……いつもみたいに……愛美を褒めて」

「……」

 それは俺の知っている愛美とは、明らかに違っている。幼いその口調。甘えてねだる様な眼差し。

 その深層に垣間見たのは、真っ直ぐな一途さと、それに反する激しい歪み。

 彼女の中に棲む得体のしれない何かに、俺は畏怖していたのだろう。

 そして――

「あっ……あ、ああ……」

 突然、愛美が奏でる艶めかしい声。それと同時に、小刻みに震え始めた身体。

「ど……どうした?」

 心配する俺の言葉に、応じるでもなく。

 それでも愛美は、ほんのりと朱に染めた顔を、俺に向け続けて――

「あ、あ……あふ……はああ……ん」

 またしても怪しい音を、口にする。

「――!?」

 その時――ぴちゃと濡れたのは、俺の靴の爪先。

 外灯の光をきらきらと反射し、愛美の足元に広がってゆく大量の湿り――。

「ま……愛美……?」

「あは……ああ……」

 俺を一心に見つめながら――――愛美は、失禁していた。
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