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曖昧なままに
第13章 忌むべき過去(愛美の独白)
 彼は私を包み込む様に抱きしめ、そして初めての時とは別の――深く探り合うようなキスをした。

 ちゅ、ちゅっぷ……ちぱぁ。

 彼のざらついた舌が、私の口の中で踊る。私も夢中でそれに応じて――。

 いっそ……溶けて一つになればいい。そう思うまで、うねうねと舌を絡ませた。

 それに没頭するほど、身体の力は抜け。腰から砕けてゆく私を、それでも彼は唇で追う。

 私を畳の上に仰向けで寝かせ唇を離すと、彼は一糸纏わぬ身体の隅々を眺めた。

 恥ず、か……しい……よ。

 顔を紅潮させ、その視線に耐える。けれど、身体を子犬のように震わせながらも、私は裸を隠さなかった。

 私はそっと瞳を閉じ、全てを彼に委ねる――。

 コリッとした先端を摘ままれて、僅かな痛みと電気が奔るような感覚が――たぶん、快感。そして小さな胸を容赦なく揉まれ、幼子の如く乳首に吸い着く。

 あ……ああ……これって。

 胸の中を締め付ける想い。自分が女なのだとの実感が、お腹の奥へ伝わると――じわっ、と何かが溢れ出て……きて。 

 次に彼が目指したのは、濡れることを覚えた――私の女の場所。

 膝を掴まれ、乱暴に開かれ、顕わにされ、そして――――貪られて。

 べろり、べろり――と、ざらつく舌が大きくうねって、まるで私を味わうように。

 ぴちゃ、ぴちゃ……ぐちゅ、ちゅ、ちゅる……じゅるるっ!

 んっ…………くふぅ!?

 何処をどうされているのか、そんなことはわからなかった。只――帯びゆく熱だけを感じて。耳に届くのは――とてもとても、いやらしい音。

 しかし――やがて、それが止み。変わって聴こえたのは、衣擦れの音。そして、それも止むと――私は静けさの中で、瞳を開いた。

 あっ……。

 その目に映ったのは、彼の逞しい裸体。浅黒く焼けた肌。思いの外、厚い胸板。そして――

 膝立ちした彼は、私の開かれた脚の間より、ソレを覗かせている。まるで、私に見せつけるよう――否、敢えて、そうしている。

 その意図は、彼の言葉が表した。


「愛美……本当に、いいのか?」

「……」

 私はその彼の目を見つめ。それから再び、そそり立つ彼の男を、じっと眺める。

 仰ぎ見上げたソレは、それまでより大きく――とても凶暴に思えて。

 これが……私の中……に?

 彼が問うたのは、私の覚悟だった。 
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