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Dolls…
第14章 幼馴染み
傷つけるつもりなんかなかった。

だけど、シュウちゃんを危険な目に遭わせたくなかった。

言い訳かも知れないけど、私の事なんか気にせず早く逃げて欲しかった。




ゆっくりと、シュウちゃんの方へと向き直し

瞳に溜まっていた涙が溢れるのを堪えながら

柔らかな笑みを浮かべて

ゆっくり、口を開く。








「私は、ここに残る。だから、シュウちゃんは早くこの屋敷から逃げて」

















シュウちゃんの瞳を一点に見つめ、トドメを刺す如くその一言を口にした。

"私は大丈夫"と、少しでもシュウちゃんの心残りを感じさせないようにその目を見据えて。



「……………っ」

シュウちゃんの手が私の肩からゆっくりと離れた。

だけど、シュウちゃんの顔色は青ざめていて、愕然とした表情を浮かべていた。


「ごめんね、シュウちゃん。何でそう思うのか自分でも理由がわからない…。こんな所まで探しに来てくれたのに…、本当にごめんなさい…」

「つ、ばき…」

更に震えるシュウちゃんの声。

私の言葉を聞いた途端、シュウちゃんはその場に倒れ込みそうなほど足の力が抜けていた。

後退りをする足が微かにふらついている。


何度謝っても足りない。

何度お礼を言っても足りやしない。

それほどまでにシュウちゃんは私を助けようとしてくれたし、そんなシュウちゃんを私は拒絶したのだから。

ハッキリした口調と何かを決断したかのような私の笑みを見てシュウちゃんは何かを察したのだろうか…。




「………わかった」





力なく呟くシュウちゃんの声が聞こえた。

その力のない声が私の心にチクリと突き刺さった。

寂しそうなシュウちゃんのその声。





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