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Dolls…
第15章 その愛、凶器につき
カタッと床に転がる拳銃。

「…暴発したらどうする気だ?」

私の頭を撫でながらシュウちゃんが言った。


が、椎葉さんの怒りは収まってないのかつまらなそうにそっぽを向いている。

だけど、今にも爆発しそうな怒りを堪えながらシュウちゃんに背中を向けたまま


「…俺の気が変わらねぇうちにさっさと出て行け。じゃねぇと本当に撃ち殺すぞっ!」



シュウちゃんの胸の中で椎葉さんの声を聞いた私は、安堵と安心感でいっぱいで…。

シュウちゃんの胸から顔を離し、シュウちゃんの背中から腕を解いた。

これで、シュウちゃんは自由の身。


「椿…」

「ごめんね、シュウちゃん…。私はここに残る…。だから、シュウちゃんの気持ちにも答えられない」


本当は、私を連れてこの山を下りたいのだろうけど

私はここから離れられない。

何故かはわからないけど、私はシュウちゃんとは一緒に行けない。

こんなところまで、私を探しに来てくれたのに…。


「お前、本当に…」

「ごめんなさい…。私は…」



上手く説明が出来ない。

だけど、今ここでシュウちゃんと山を下りたら後悔してしまう気がしたから。

でも…。


「でも、シュウちゃん。これだけは覚えてて。私にとってシュウちゃんは…、たった1人の幼馴染み。この世に2人といない大切な人…」



椎葉さんの前でこんな事を言ったら後でどんな目に遭うかわからないけど、でもこれだけはどうしても伝えたかった。

傷つけてしまったシュウちゃんに、どうしてもこれだけは…。

もう、2度と会えないかも知れないから。

私達の会話を邪魔することなく椎葉さんはただ黙ったまま背中を向けているだけだった。







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