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Dolls…
第16章 誘惑の果て




"そんなつもりはなかった"?

そんなつもりはなかった等、どの面下げて言おうとしてるのか。


椎葉さんの幼馴染みだというあの人を使って、椎葉さんの事をいろいろ聞き出そうとした。

椎葉さんの口から聞かされた言葉を、私は未だに信じきれてない。

奈々さんの事も、作業部屋のあの写真の女性の事も、私は何1つ知らない。

だから、椎葉さんの事を少しでも知りたくて…、安藤さんを利用しようとした。

そんなズルいことを考えて安藤さんを招き入れた。

結局何も聞けなかったけど…。



改めて思い出して、自分のズルさに吐き気を覚えてしまった。




「何故、尚人をこの屋敷に招き入れた?」

「そ、それは…」




椎葉さんの事を知りたかった。

椎葉さんの事はまだ信じれないが、それ以前に椎葉さんは何も話してはくれないから。

だけど、椎葉さんの事を知りたいがために招き入れたなんて事がわかったらきっと許してもらえない。


「お前、あんなのがタイプなのか?チャラチャラした軽い男が…」

「違います!そんなんじゃ…っ」


確かに椎葉さんとは正反対な気さくな人だけど、タイプとかそういう下心じゃない。

椎葉さんの事を知りたいと思う下心だ。






だけど━━━━


安藤さんの事がタイプなのかと笑う椎葉さんの表情。

何故安藤さんを招き入れたのかと問いただす表情を見て思った。



きっと、椎葉さんは気づいてる。



私が安藤さんを招き入れた理由を…。

私の…、ズルい下心を椎葉さんは見抜いてる。

見抜いた上でこうして私をからかってるんだ。

答えられない質問を投げ掛けて、その反応を楽しんでるんだ。





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