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Dolls…
第19章 泣きながら、あなたを…
「っていうか…、私、椎葉さんの事なんて別に…」

「なぁ、椿ちゃん…、俺の話を…」

「そりゃ、さっきはあんな事言いましたけど、そんな…、恋をしてるなんてほどじゃ…」


何かを話そうとする安藤さんの口を必死に遮った。


"椎葉さんの事を思うと…"なんて泣きながら口走ってしまった。

今更否定や言い訳をしてももう遅い。

あんな台詞、誰が聞いたってただの愛の告白だ。


「椿ちゃん、あのさ…っ」

安藤さんはあたふたしながらも私に何かを伝えようとしてる。

私の会話の合間に言葉を挟もうとするが私がそれを阻止してる。

だけど、私の会話もそろそろ品切れだ…。

「私、部屋に戻ります!背中の傷の消毒もしないと…っ」


これ以上、会話を引き伸ばせそうにない。

聞きたくない…。

安藤さんの言葉、それ以上先は聞きたくないっ!


「椿ちゃ…」

「失礼します…っ!」


安藤さんから顔を反らしたままその場から立ち去ろうとした。



「椿ちゃんっ!待ってっ!」

「やっ!」

安藤さんに腕を捕まれて引き止められてしまった。



「頼むから俺の話を…っ」

「聞きたくありません…っ!」



聞きたくない…っ。

どうせまた悲しくなるだけの話だ。

私の勘がそう言ってる。

これ以上…、全部聞いたら今度こそ私は壊れてしまう気がする…。



「は、離して下さい…っ!」

捕まれた腕を振り払おうとするが、男性の力に勝てるはずもない。

これじゃ耳も塞げないし嫌でも安藤さんの言葉が耳に入ってくる。


聞きたくないっ!

聞きたくなんかないのに…っ!


「話を聞いて欲しいだけなんだ…っ」

話…?

話って何…?

安藤さんの様子からしていい話じゃない事だけは確かだ。





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