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Dolls…
第20章 別れの背中
「うぅ…っ、うっ、ひぅ…っ」


安藤さんの目の前だと言うのに、人目を憚らないほどにわんわんと泣いた。

最後に見た椎葉さんの顔とあの言葉を思い出しただけで涙が止まらなくなる。

それほどまでにあの言葉は私の心を壊すには充分過ぎるものだった。



「う、うわぁぁぁ…っ」

「椿ちゃん、ごめん…。俺のせいだ…」


そう言って安藤さんはソファから立ち上がり私の傍に近寄ると再び私を抱き締めた。

私の体は安藤さんの胸にすっぽりと納まってしまった。

っていうか、何で安藤さんが謝ってるの…?

安藤さんは何も悪くないのに…。

今もこうして私に胸を貸してくれてるのに…。



「どうして…、ひっく、あ、安藤さんが謝って…」

「秋人を好きになるななんて中途半端に意味深な事言っちゃって。ちゃんと理由も説明出来ないままだったから」


…そういえば安藤さん、そんな意味深な事言ってたっけ。

別に今更、理由なんてもうどうでもいい。

椎葉さんに振られた今、理由を知ったところで意味がない。

私は椎葉さんのタイプじゃなかったとか、椎葉さんにとって私からの告白は迷惑だったとか、そんな理由でしょ?

もう…、どうだっていいよ…。


「別に…、ぐすっ、安藤さんのせいじゃ…」

「でも、結果的に椿ちゃんが傷ついたから」

別に本当にどうでもいい。

いや、どうなったって構わない。

逆にこのまま深く傷ついて、感情丸ごと壊れてしまえばいい。

そうすれば、哀しみなんてもう感じない。

辛くもない…。


例え本当に安藤さんのせいでも、もうどうでもいい。



「それでさ、椿ちゃんに聞きたいことがあるんだけど」

「……ぐすっ、な、何ですか…?」



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