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第20章 別れの背中

「これからもここで秋人と暮らすの？」

「え…？」

このままここで、椎葉さんと…？


安藤さんのその一言でハッとした。


そうだ…。

私は椎葉さんに振られたんだ。

あんな事言われて、これから先椎葉さんと顔を合わせづらい。

どんな顔して椎葉さんに会えばいいんだろう。

それに、椎葉さんは私に"ガッカリした"とまで言ったんだ。

今はこうして安藤さんがいてくれるけど、もし安藤さんがいなかった…？

これ以上、椎葉さんに拒絶されるのが怖い…。


「あの…」

即答で"はい"と答えることも出来ない。

それほどまでに私の心は迷っていた。

本当はここにいたい。

シュウちゃんの助けを断ってまで私は椎葉さんを選んだのだから。

だけど、私は椎葉さんに拒絶された…。

「そ、れは…」

安藤さんは私の肩を持って私の顔を見ながら真剣な表情で私に問うている。

私はその質問にハッキリ答えられないまま口ごもっている。


どうしよう…。

今は椎葉さんの顔を見るのが怖い。

椎葉さんに会うのが怖い。



「椿ちゃん。俺と一緒にこの屋敷を出よう」





「━━━━━━━え？」





口ごもる私にそう呟く安藤さん。

その言葉に私の心臓がドクンッと高鳴った。





安藤さん、今何て…？

今、私に…

安藤さんと一緒にここを出る…？

安藤さんと一緒に椎葉さんの家から…。




「あ、安藤さん…？」

私を見つめる安藤さんの目は冗談を言ってるようには見えなかった。

ただ、真剣な眼差しで私を見つめてる。


「安藤さん、い、今…、何を…？」

「俺と一緒にこの屋敷を出よう。椿ちゃんは俺の家に来ればいい」

「……………えっ!?」