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Dolls…
第20章 別れの背中

嫌われても、拒絶されても、私はまだ椎葉さんの事を気にしている。

振られたくせに、みっともないぐらいに椎葉さんの事が気になってる。

本当はずっとここにいたい…。


「わかってる」

「え…?」

「そんなとこまで椿ちゃんは奈々と一緒だ」

「だったら…」

「わかってるからこそここには置いておけない。奈々の変わりにするつもりはないけど、椿ちゃんまで傷つけたくない」



安藤さんは自分のせいで奈々さんが傷つき遠くに行ってしまったと思い込んでる。

やっぱり心のどこかで椎葉さんを恨んでるのかな…?

「安藤さんは椎葉さんの事を恨んでるんですか?」

確信に迫るような質問を安藤さんにぶつけた。

いくら何でも同情心だけで昨日今日会ったばかりの女性を連れ出すなんて出来やしない。

奈々さんの事で椎葉さんを恨んでるとしか思えない。

「………最初は恨んでなかった。自分の中では終わった事だって納得したつもりだった。だけど、秋人は同じ事を繰り返してる。奈々の次は椿ちゃんまで…っ」


私から目を反らして何かを考え込む安藤さんの表情。


安藤さんは本気で私をここから連れ出そうとしてる。

この屋敷にいたら私はきっと傷つく一方だ。

そんな監獄のような屋敷から本気で私を連れ去ろうとしてくれてる。


ここにいたい…。

嫌われてもいいから椎葉さんの傍にいたいけど、それじゃ苦しいままだ。

苦しくて、辛くて、心が折れたみたいに痛い。


もし、このまま安藤さんの手を取れば楽になれるのかな…?

こんな惨めな思いも忘れて、楽になってくれるのかな?

奈々さんの変わりでも何でも、安藤さんの手を取れば救われるのかな?

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