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Dolls…
第26章 Dolls…


「はぁ、ん…」



心臓の鼓動がおさまらない。

ドキドキと音を立てて、今にも張り裂けそうなぐらいに。




「椿…」

すると椎葉さんは、先程私から剥がした毛布を床から拾い上げ、私の肩から包むように優しく体にかけてくれた。

肌寒さは感じてないけど…、椎葉さんの気遣いが心を落ち着かせてくれる。

「あ…、ありがとうございます…」

寒くなかったけど…、ふかふかの毛布の感触が気持ち良くて暖かい。


「…悪い。抑えが効かなくなった…」

背後から呟くような椎葉さんの声が聞こえた。

ソファに顔を埋める私のすぐ真後ろに椎葉さんの気配。

椎葉さんの手が毛布越しに私の肩に触れる。



「椎葉さん…」

「お前が…、あんな告白してくれたお陰で…」

「え…?」


告白?

私が椎葉さんに告白?

あ…、そうだ…、私は椎葉さんに…。

頭がボーッとして考えが纏まらない。

纏まらないけど…、私の頭の中で自分の言った台詞が再生される。




"私は椎葉さんの囚人になる"と。




「あ…っ」




毛布越しに椎葉さんの手の感触を感じる。

だけど、あんな突拍子もない告白をした自分が急に恥ずかしくなって…

椎葉さんの方を振り返れない。

何の言葉も出せずオロオロしている私のうなじにコツンッと何かが当たる感触を感じた。


「………?」


それは、私の肩に手をかけた椎葉さんが、自分の額を私のうなじにもたれさせるように預けてきた感触だ。

…まるで、顔が見えない変わりに心で私の考えを読み取ろうとしているよう。

私の心臓の音まで聞こえてしまいそうで、それが余計に胸の鼓動を早めていく。





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