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少女X
第1章 少女Xと青年

『───っん…』
寒くて、目が覚めた。
自分の身体を見下ろすと、見事に何も着ていない。
ここは人通りの無い路地裏。
つまりは外な訳である。
今がいくら春だからといっても、こりゃ寒いはずだ。
見回せば、転々と服が散らばっている。
私はそれらをひとつずつ集め、着るわけではなく抱き込んだ。
…着たくないってわけじゃない。
むしろ本当は着たいけど。
でも、まだ。
“終わってない”から。
「…起きたか?」
掛けられた声に顔を上げると、そこには申し訳なさそうな顔の若い男が立っていた。
彼の手には缶コーヒーがふたつ、握られている。
『…寒い』
少し責めたような口調でそう言うと、彼は苦笑いを浮かべる。

