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タンバリンでできたオーロラ
第34章 ドクター・オフィスラブ
「はい、先生」

 マリカくんが渡してくれる。

「鉗子」
「はい、先生」

「メス」
「はい、先生」

「ノコギリ」
「はい、先生」

「チューブ」
「こう? 先生?」

「マリカくん」
「はい、先生……?」
「舐め方ではなく、道具を取って欲しいのだが」

優秀な外科医は術中何が起きても決して慌てない。
俺の落ち着いた態度に、指示を取り違えていたマリカは羞恥を覚えて顔を真っ赤にする。

「いっけない! あたしったら……!」
「うっかりは誰にでもあることだ、気にしなくていい」

クランケの顔が冗談じゃないというふうになったが無視する。

俺はプロフェッショナルだ。スタッフに必要な助言を必要なときにする。
いくら患者とはいえ、素人である以上、余計な口出しは無用だ。

「先生、お道具です」
「うむ」

マリカくんが隠し場所から取り出して来た道具を俺に渡す。

「ローターは?」
「え……今、つけてて……」
「かまわん、外したまえ」
「はい……」
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