この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
新月
第5章 透吾




—透吾は、昔からあまり子供っぽくない子供だった——。



藤木の妻が、透吾を産んですぐ亡くなってしまったため、甘える相手がいなかったからかもしれない。


透吾は、父親の言うことをよく聞き、周りにも迷惑をかけてはいなかった。

まだ、チヨが小さい時、透吾とよく遊んでいたが、よくよく思い出してみると、
透吾がチヨのお世話をしている感じだった。









『あぁ〜ん、うわぁぁ〜ん!!』



『チヨ、どうしたの?』


グスグス
顔は、涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。



『あ、あっちに、ね、トンボがいたの!!
つ、つかまえようとしたら、こけたのぉ〜〜!!』


『いたいよ〜!
とうごちゃん、いたいよ〜!』



『わかった、わかったから。

ほら、井戸へあらいにいこう』





(…その頃は、また、言葉使いもよくわかっていなくて、

とうごちゃん、と呼んでいた。)




毎日とは言わないが、会った日は必ず二人で、日が暮れるまで一緒にいた。
チヨが透吾の後ろをくっついているのか、
透吾がチヨの周りをウロウロしているのか、

二人は、意識せず、共にいた。





———少なくとも、チヨはそうだった。








余りに、透吾に世話を焼いてもらっているチヨを見て、

テルが



『チヨ、透吾様は御屋敷のお子様ですからね。


お呼びする時は、とうごさま、か、お坊ちゃん、と、


呼びましょうね。』




『?、はい。 かかさま。』


あまり疑問にも思わず、チヨは返事した。







そして、いざ、透吾を目の前にして、



『とうごさま』



と、呼んだ時、透吾の動きが止まった。





/49ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ