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狐面の男に 愛されまして
第3章 狐面の男に ひきとられまして
ぎいっ…と、堂の戸が開かれた。
それほど広いお堂でもなくて、木の家具がほどよく配置されていて
「しまった…また妖精たちが悪さしたな」
──散らかった部屋。
戸の前には巻物の束。
背の低い書棚からは引っ張り出された本と紙類。
上下逆になった燭台は、部屋の真ん中にぶら下がっていた。
シュウは溜め息をつきながら、ぱちんぱちんと指を鳴らす。
すると巻物が浮いて、丸まった布団が浮いて、本がぱたぱたと閉じ始めて…元の場所に収まってゆく。
…そういうところは、魔法っぽい。
「ついでにホコリも被せてきたな…っ、困った妖精たちだ。サチも、気を付けるんだよ」
「どんな姿をしているの?」
「君がいつも目にしている彼等と同じだと思うよ」
「ふーん…」