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狐面の男に 愛されまして
第4章 無知な自分は 騙されまして
ああ…でも確かに、カワウソ君の見た目は可愛かったな。
人間に近い妖精より、動物よりの方がわたしの好みだったりする。
「あの子は、わたしをどうする気…だったの」
食べられる危機だったとか?
「…それは言葉通り、自分達の住み処に連れていく気だっただろうね。君と遊びたがっていたから」
「ふぅん」
「だが二度と戻れない。彼等は善意で人間に接してくるけれど、その大半がありがた迷惑。──…悪意のないイタズラほど、対処に困ることはない」
説明しつつ
シュウは彼女を抱いたまま地に下り立った。
そして歩き出す。
「…嬉しかったんだろう。妖精と会話できる人間はどんどん減っているからね」
幻想の世界の住人になりつつある彼等は
忘れ去られる自分の存在に、意義を持たせようと必死だ。
「話をするのは構わない。けど気を付けてね」
「…うん」
二人の視界には、ぼんやり明かりのもれた家が入ってきた。