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狐面の男に 愛されまして
第1章 気味が悪いと 嫌われまして
高校の女の子は、不思議な彼女と誰も目を合わせない。
だから…──
彼女が何か、表情をつくって自分の感情を表に出したところで
誰も、見ないから。
「──…」
もともと表情の出にくいタイプの彼女は
いつしかその唇の端を、少しあげて微笑むことすらやめてしまった。
サラ サラ サラ...
背中を覆う黒髪は、彼女の身体と同じように細くて、長くて、美しくて──。
いつも遠くを見つめる虚ろな瞳は、まるで内側に向けられているようにも思える冷たさで。
そんな不思議な儚さに
男たちは、吸い寄せられた。