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君はカノジョ
第1章 飲み会帰りはエロスのにおい
据え膳食わぬは男の恥とかいう言葉があるけど、それの反対ってなんて言うんだろうか。
と、好きで好きでしょうがない人を腕の中に抱きながら俺は考える。
抱きながらっていってもヤッてるって意味じゃなくて、抱きしめてるってことだ。

会社の飲み会帰り。夜の公園は夏の気配が濃くて水と緑の匂いがする。
等間隔に置かれたベンチの一つに腰かけて、俺たちは寄り添っている。
彼女の甘い匂いが鼻をくすぐる。あんな、煙草と食い物と酒の匂いで充満した居酒屋にいたのに、なんだってこの人はこんなにいい匂いがするんだ。
小柄な彼女はすっぽりと俺の腕の中に入ってしまっていて、なんだか普段より小さく見える。でも寄りかかられると確かな重さがあって、俺は少し驚く。そうだ、女の人にも重さがあるんだ、なんて。

自分でもなんだってこんなことに、とは思う。
好きで好きでしょうがない人が、他の男の事で投げやりになって今腕の中にいる。つまり今ここでそれ以上をしてしまったら、なんてゆーか男がすたるってやつじゃないか。
というかまぁ俺にもプライドがあるわけで。やけになって抱かれてくれても俺が情けない。
なんせ一年近く好きな人だ。もっとちゃんとしたいじゃないか。

…なんて言っても体はしっかり反応してしまう訳で、どうしようこれ…。
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