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君はカノジョ
第6章 友情なんかじゃないやいや
張り紙にはバスの運休と、タクシーはここにはもう来ないから使うなら電話してね、と番号が書かれていた。はいはい。そうですか。
さっさと戻ってタクシー呼ぼう。会社に戻りかけてふと建物を見上げる俺の部署と休憩室にだけ明かりが点いている。うん?休憩室?
と思って目をこらす。
窓辺に人影が見える。女の人…?激しい雨であんまり見えない。
もう少し近寄ってみると、見えた。
金原さんが窓に手をついて、ゆさゆさと揺れている。
あれってもしかして、もしかしなくても、部長と…。

がごん!と音がして視線を戻す。会社の玄関から桃子さんが出てきて、なぜか二人分のカバンを持って全速力で駆けてくる。傘も差さずに。
「え、なに、なになになにっ」
とかうろたえてる間に桃子さんは何ごとか叫びながら至近距離まで近づいて、
「見ちゃダメっ」
と言ってタックルしてきた。
「うわっ」
思い切り体をぶつけられたもんだから桃子さんごとその場にひっくり返ってしまった。
ドジャーーーーッと容赦なく降りかかる雨。こけた拍子に手のひらをすりむく。
「なに、桃子さん!どうしたの!」
どしゃどしゃうるさい雨に負けないように大きい声で言う。
「見ちゃダメなのっ、半田!」
と言って桃子さんはガバっと俺の頭を抱きかかえる。ビシャー!と濡れたスーツの胸元がひっつく。
おお!?と一瞬思うけど今は濡れた布が顔面に張り付く不快感の方が先に立つ。
「ちょ、桃子さんやめて、落ち着いて」
「だめっ顔上げちゃダメだよ半田!」
桃子さんはますます腕に力を込める。あーそうか、アレを見るなって言ってるんだ。

「大丈夫だよ、桃子さん」
「えー!?」
胸元で発した声はなかなか届かないらしい。俺も大声で返す。
「金原さんのことだったら知ってるから、いいんだー!」
締付けていた腕の力が緩む。
膝立ちの桃子さんが上から俺を見下ろす。
ぱくぱく口が動く。「なんで」
と言ったように見える。
俺は首を振って、桃子さんの腕を取って立ち上がる。
「いいんだ」
もう一度言うと桃子さんもそれ以上聞かない。
鞄を拾って、桃子さんの手を引いてタクシー乗り場へ歩き出す。
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