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君はカノジョ
第6章 友情なんかじゃないやいや
奇跡的に無事だったスマホで張り紙の番号に電話し、タクシーを待つ間にぽつぽつと昨日の出来事を話す。もちろん二人ともずぶ濡れのまま。会社の方とは反対を向いてベンチに腰かけて。

休憩室に向かったところから、部長が帰ったところまで話すと、その先を続けるかどうか迷った。
口ごもっていると桃子さんがこちらを覗き込んで、
「…したの?」
と聞いてくる。
えぇぇーっ、鋭い。俺は多少ぎょっとして声を失う。
そんな俺の様子を見て桃子さんはぷいっと向こうを向いてしまった。
肩が震えていて、泣いてるのかと思うけど、確かめる前にタクシーがきてしまう。
「来たよ、桃子さん」
「……」
呼びかけても返事はない。
タクシーに乗り込んでも、ずっと無言のままだった。
俺は突然の無視に動揺しながら、橋向こうの駅の名を告げた。

橋を半分ほど通過した時、指に冷たいものが触れた。
それは桃子さんの指で、見ると桃子さんは青い顔をしてガタガタ震えている。
「え、ちょ、大丈夫?」
聞いても答えず、ぎゅっと手を握ってきた。
「寒いの、桃子さん」
俺はマヌケにもそんな当たり前のことを聞いてしまう。
「ん…」
と答える声は小さい。
「タオルあるよ」
と運転手のおじさんが差し出してくれて(というか最初に出せよ)ありがたく受け取り、桃子さんをくるむ。わしわしと拭きながら様子を見るけど震えが止まらない。
桃子さんの家遠いし、このまま一人返すのはちょっと…。

俺は行き先の変更をする。運転手にマンションの名前を告げると桃子さんが顔を上げた。
「え、それって半田の家じゃ…」
「うん、一回俺んちであったまっていけばいいよ」
「でも」
「いいから」
きっぱり言うと桃子さんはまた黙ってしまう。
ありがとう、とまた向こうを向いてしまう寸前に小さな声で告げる。
わりと素直じゃないんだよなぁ、まぁそこがかわいいといえばそうかもしれない、と考えてあれ?となる。かわいい?
…うん、いや、桃子さんは普通にかわいいよね、うんうん、変な意味じゃなくてさ。うんうん。世間的に見て?みたいな。ほら、ねぇ?

昨日の今日でさすがにそれは、と思いつつ握ったままの手に改めてドキドキしてきてしまう。
俺は本物のアホウかもしれない
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