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ネムリヒメ.
第22章  あの夜の…….




「ッ…離して、みっくん」


そこで、アタシを抱く雅くんの腕を振りほどきにくる険しい顔の葵くん

雅くんから離されて、葵くんに腕を引かれるけれど


「…っ……しえて…」


それを遮ったのはアタシ自身で…


「…………っ!!」


自分の腕のなかに納まることを拒否され驚く葵くん

その隣で、アタシは雅くんを見つめたまま、涙で詰まる声を振り絞った


「…教え…て」

「…………!?」

「雅くん…教えて…」


アタシの訴えに彼は一瞬ハッとしたけれど、すぐに目を細めて耳元に唇を寄せた


「いいよ…お前の知りたいことならオレが教えてやるから」

「っ!!ちーちゃん…」

「知りたいんだろ、オレのこと」

「雅っ…」

「こいつらの前ではっきり言ってやるよ」

「ッ…」


雅くんがフンっと鼻を鳴らしながら口元を歪めて、葵くんと聖くんを順番に見る

そして最後に含みのある視線を渚くんに向けると、そのままゆっくりと口を開いた


「お前はあの日…渚さんのことしか覚えてないんだってな」

「…………」


あ……

渚くんから戻された視線に、雅くんを見上たまま静かに頷く

そう、アタシが覚えてるのは渚くんに抱かれたことだけで…

そう…だけれど…

雅くんが口にした渚くんの名前になぜかドクンと不安な音をたてる心臓


アタシと渚くん…

アタシと…雅くん


あの日…

アタシ…




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