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ネムリヒメ.
第22章  あの夜の…….




雅くんを見つめたまま唇をキュッと噛み締める

…途端、そっと手を引かれて噛んだ唇に当たる柔らかな感触


「っ…!!」


そしてすぐに耳元で囁かれた言葉に言葉を失った


「あの夜…お前を一番先に抱いたのは渚さんじゃねぇよ」

「っ……………!!」


それって…

あの夜…

え……


雅くんの言葉に誰の顔も見れないまま、息が詰まる


待って…


「このなかで、一番先にお前を抱いたのは…」


「っ……!!」


「…オレだから」


「─────!!」



覚悟はしてたけど…


雅くんの言葉にも

聖くんの言葉にも…

覚悟はしてた


教えて欲しいと言ったのは自分


だけど…

だけど、告げられた事実に言葉もなく頭が真っ白になって、再び視界が歪む

アタシをニヤリと見下ろして、耳元に軽く口づける雅くん


「っ…………!!」


アタシはそんな彼の胸を押し返して、絡まる腕をすり抜けた


「千隼っ!!」


駆け出したアタシを呼び止める渚くん


「っ…行くな」


けれど、振り返りもせずにアタシは部屋を飛び出す


「ッ…ぅ……」


頬を濡らしたまま人混みをすり抜け、振り返らずに涙を拭う


「……………」


ショックだったんだ…

覚悟はしてたつもりだけど、ショックだった

だけど、アタシはいったいなににショックを受けているんだろう…


雅くんに抱かれたこと!?

初めてが渚くんじゃなかったこと!?


そんなことを考えても、今のアタシにはわからなかった





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