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ネムリヒメ.
第23章 薔薇の刺、棘の鎖.
その答えは望の育ってきた環境にあった
渚の弟である望は、多感な時期をあの3人の背中を見て過ごしてきたのだ
彼らの存在は必然的に望にとって非常に大きな影響を与えるものであったわけであって…
聖譲りの要領の良さと腹黒さ…
葵譲りの抜群のセンスの良さとチャラさ…
そして、血は争えないもの
渚譲りの容姿と究極の色気…あとキレる頭も付け足しておこう
タチが良いのか悪いのか
3人の個性のいいとこ取りと言って良いのか悪いのか
こうして誕生したのが、すべての要素を兼ね備えたハイブリッド野郎
紫堂家の次男坊 "紫堂 望" というオトコなのである
因みに、望が性格に影響を受けたのはあくまでも兄の渚、葵、聖の3人だ
ならば雅との関係は…!?
仲良さそうにケンカごっこをしてるではないか
…いや、間違えてはいけない
望と雅は自他共に認める犬猿の仲なのである
望の職業については詳しくは今は伏せておくが、お茶の間の人気を二分する眩しい存在であるふたりは、公私ともにライバル関係にあるのだ
そんな望の胸ぐらを掴んだまま渚は続けた
「なぁ…お前の相手、今日のとこはここらへんで勘弁してやってくんねぇか」
「……ッ…」
いつもより低く聞こえる兄の声にビクリと肩をすくませる望
渚はプールから顔を出した雅をチラリと横目で確認するものの、そちらへは顔を向けず望と向き合ったまま胸元を解放することはなかった