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そして、花開く
第7章 ~ 6 ~
『葉嶋さん、どうしたんですか?』
『いや、町田こそどうしたのかと思ってね』
『俺?』
余り葉嶋の表情は変わらない。
ただ、何か奥歯に物が挟まった様な物言いが気持ち悪かった。
『葉嶋さん、何からしくない。いつもみたいにズケズケ言ってくださいよ』
『お前ね…』
苦笑いしながら、聡の方を見る。
そしておもむろに、道端に車を停めた。
『町田、何があった?この目の隈』
『っ…!』
突然目許に触れられて、ビクリとする。
一端離れた手は、聡の頭をポンポンと叩くと、またハンドルへと戻っていった。
『ったく。お前にはいちいち調子が狂う。 正直ノンケなんか、相手にしたくないし、するつもりもなかったんだ』
いきなり何を言うのか。
驚いて葉嶋の方を見る。
さらりと言ってくれたが、自分をノンケという所を見ると、葉嶋はゲイという事なのか。
『……でも…お前だけは気になって仕方がない』
通り過ぎる車のヘッドライトに照らされて、葉嶋の整った顔に影が出来て、恋愛沙汰に関して疎い聡にも、これが色気なんだろうと分かる程の色気がにじみ出ていた。