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そして、花開く
第7章 ~ 6 ~
もしかしたら、清貴の言うように清香の事を好きだったのかもしれない。
二人で歩いている時の衝撃は、相当なものだったから。
『その相手は…』
『………』
しかし大樹の姿を思い浮かべて、思いがけず言葉が詰まる。
精悍な顔立ちをした、仏頂面を思い出す。
胸の奥がキュウと苦しくなった。
この感情は、一体なんだろうか。
『…その…相手の人は俺が最近、親しくさせて貰ってる人で。…凄いいい人で、同じ作家が好きで、仕事熱心で、多趣味で、親しくさせて貰うようになってから、お世話になってて。俺、人と親しくするの初めてで迷惑掛けてばっかなのに、嫌な顔一つしないで、もっと頼れなんて言ってくれて…』
ポツリポツリと時間を掛けて話す聡に、ただ頷く葉嶋の車がゆっくりと停まる。
ふと、周りを見ればそこは聡の住むマンションの前だった。