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そして、花開く
第7章 ~ 6 ~
『ちょっと。お前ホントに分かってないな?』
『何が?』
『先輩の事だよ。大樹先輩!』
ここで名前が出てくると思わず、心臓の音が早くなる。
誤魔化す様に清貴の投げた缶を拾い上げ、カウンターの上に置いた。
『な…だ、大樹さんのことは…、うん。応援してるよ』
『……………は?』
今度は聡の近くまで来た清貴が、困惑した顔付きになった。
振り返り、聡が慌てて思っていることを話す。
『いや、それこそさっきの上司と話して思ったんだけど。俺、清貴が言ってた通り、清姉の事好きだったのかもしれない。結婚するって分かった時、随分ショックだったんだ。……でもさ、よく考えたら大樹さんと清姉、年近いし昔馴染みだろ?凄いお似合いだと思うんだよ。大樹さんとは結婚したら、あんまりメールとかも出来ないだろうけど、尊敬してるのは変わらないし。俺、これからは二人を応援する』
『ちょっ、ちょっと待って。何?何言ってんの?姉貴が誰と結婚するって?』
『え?大樹さん…?』
またしても清貴からバシッと頭を叩かれる。
文句を言う前に、焦った様な顔をした清貴が電話を掛け始め、リビングを出ていった。
清貴はいつでも忙しい。
きっと祝杯をあげに来たのだろうに。
聡は溜め息を吐きながら、飲みかけのハイボールに口をつけたのだった。