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そして、花開く
第7章 ~ 6 ~
『痛って…』
『何なの、さっきのは』
『え?さっきのって?』
『車で送って貰った上に、……キスまでされて!』
『ちょっと!……声でかいよ。ってか、見てたのかよ……。まぁいいや。中入ろう、近所迷惑だ』
先に立ち上がり、清貴が持ってきたビニール袋から、自分の好きなハイボールの缶を取り出す。
清貴にもカクテルの缶を渡すと、カウンターのスツールに腰を掛けて、プルを開けた。
『あれは、会社の地区担当で一応上司なの。俺がボサッとしてるから、心配してくれたみたいだ』
『聡がボサッとして鈍いのは通常営業だし、心配してるからって、キスまでするか?!』
『あれは気持ち悪かった』
『感想なんか聞いてねぇ。気持ち良かった、なんて言ったら張り倒す所だわ』
フン、と鼻を鳴らしてソファーにどっかりと腰掛ける。
と、手に持ったカクテルを一気飲みして、聡を振り返った。
『で、どうすんの』
『どうこうなるつもりはないよ。上司だし』
『ちっがう!!この鈍ちん!』
飲み終わった缶を聡に投げる。
缶は聡の足元に転がったが、清貴の言動に明らかに困惑している聡を見て、清貴はソファーから立ち上がった。