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そして、花開く
第3章 ~ 2 ~
目の前に『ガーデニングセット』と、花の苗が植えられたプランター置かれている。
聡は昨日押し掛けてきた清貴を思い出して、何度目か知れない大きな溜め息を吐き出した。
『この花はね、ペチュニアというのよ。長く咲くし、さして難しい花じゃないから、育てやすいと思うわ。水のやり忘れさえしなきゃ、ね』
そう言って、清貴は本業の仕事前のバッチリメイクで、バラの飾りの付いた脚のあるカップ型のプランターに軽石、土、花の苗の順に入れていった。
高校の時に園芸部の副部長を務めており、尚且つ今でも『花は心の栄養源よ~』等と言っているだけあって、手際のよさはピカイチだ。
『ツイヒが云々』とか『テキシンが云々』とか言っていたように思うが、そんな専門用語を言われても、言葉を知らないので漢字変換すらできない。
花など育てた事も育てようと思った事もない聡には、何の事やら訳が分からなかった。