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そして、花開く
第3章 ~ 2 ~
それに何より、昔清貴に言われたことがあるのだ。
『花育てる才能無さすぎ』と。
独り暮らしを始めてすぐだっただろうか。
今のように色々な事に疲れていた時、今回と同じようにガーデニングを勧められた。
あの頃は意地になってそれを拒否し、当然花は枯れ、清貴とも大喧嘩したのだ。
お互い忘れた訳ではない筈だ。
それでも勧めてくれたのは、色々と考えすぎて疲弊している自分を気遣っての事なのだろう。
気は重い。
しかし、今回は意地を張るほどの元気もない。
(ここは1つ、清に乗せられてみるのも悪くない、か)
聡はプランターの中の小さな葉をツン、と指で弾くと仕事へ行く準備を始めたのだった。