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そして、花開く
第3章 ~ 2 ~
ビル風を受けながら、聡が店回りとビル前の駐車場の掃き掃除をする。
空き缶などのゴミも拾い集めていると、不意に強い視線を感じた。
(……なんだ?)
仕事をしている時は、極力全体を見ていられるよう、気を張っている。
だからだろうか。
刺さるような視線は、聡をすぐに反応させた。
駐車場をザッと見渡す。
ぐるりと見渡した所で自分を見つめる瞳とぶつかり、ドキリと心臓の音がしたのを感じた。
まだ開店前の美容室から、こちらを見ている人物がいる。
(……睨まれて、るのか?)
窓際の椅子に手を掛け、反対側の手には聡と同じようにホウキを持っている男性がそこには立っていた。
そして、聡の驚いた視線に気付くと、ペコリと頭を下げ、店の奥へと消えていく。
(…目付き悪っ)
余り表情は分からなかったが、無愛想というか、目付きが悪いというか…。
しかし、どうやら睨まれていた訳ではないらしい。
つられて頭を下げた後、聡は服部が呼びに来るまで、しばし茫然としていたのだった。