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そして、花開く
第5章 ~ 4 ~
昼も近い時間のせいか、平日だというのにいつも以上に人通りが多い。
人が多いのは苦手な聡は、俯き加減で足早に本屋へ向かった。
人酔いすると言えば良いのだろうか。
冷や汗が出て気分が悪くなるのだ。
そうなる前に、本屋に辿り着かねばならない。
早足のまま、本屋に入ると大きく深呼吸し、気持ちを落ち着かせた。
有名書店ではない、個人経営の書店だが、店は広い方で本の種類も豊富に取り揃えてある。
落ち着いた店内には、小さくクラシックが流れており、入口に気難しそうな年配の店主が、客が来る度にジロと客を睨むのだ。
馴染みの聡はいつもの様に頭を下げて、店主に挨拶をすると、店主が手を上げて応えてくれた。