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恋花火
第12章 送り狼
ラッシュの電車なんて大嫌いだったのに


今の私には、そんなことどうでもいい。


重なり合う唇は熱さを増して


ほんの少し開いた唇からは、暖かい舌が挿れられた。


……熱い、すごく。


タケル以外の男の人とした、何年ぶりかのキス。


こんなに熱いものだなんて思わなかった。


絡まり合う舌は離れる事を知らないみたい。


私たちは、降りる予定の駅へ着いたアナウンスが流れるまで、ずっと


キスしてた。








「はずかちぃ」

「いやいやいやいや……こっちが言いたいわ、そのセリフ。」



学校に着き、飛び込んだのは美波の教室。


電車を降りて、どうやってここまで来たのか、あのあと陸先輩とどんな会話をしたのかほぼ記憶にない。


それほど私の頭の中はテンパっていた。


「まぁいいんじゃない?陸先輩なら。」

「いいってどゆこと!?」

「だからー、やっとタケル病から抜け出せるねーって。」

「そんな病気みたいに。」


でも、美波の言う通り


私はさっきの陸先輩のキスにより


長い長い恋の病から解放されたみたい。


だって、だって……


「はー、やんばい。」

「やんばいの?」

「ええ、かなり……」


もうタケルのことなんか頭からすっぽ抜けて


陸先輩のことで、頭がいっぱいだよ。
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