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恋花火
第12章 送り狼
そんな浮かれまくってる私に、美波は容赦ない。


「でもさぁ、陸先輩だよ?あんた大丈夫なの?」

「え、どういうこと?」

「人気あるじゃん。」

「えっ、そうなの?」


美波は、そんな事も知らないの?と言いたげな目をしてくる。


私は高校入学してからもタケルばっかりの生活だったので、そんな事ちっとも知らなかった。


知っている事と言えば、部活中はとても真面目なこと。どちらかというと厳しくて怖いイメージだった。


試合に勝っても笑顔なんか出さないってくらいにクールで。


「そもそも、陸先輩って茜先輩と付き合ってるんじゃないの?」

「それが違うみたい。恋人じゃないって言ってる…」

「えー嘘でしょ?あんなに仲良いのに。」


なんかどんどん自信がなくなってきた……


もしかして最近の陸先輩は、夢か幻?はたまた妄想…?


「だ、だよね……」

「あんたとタケルだって、恋人ではないけど…あ、ごめん。」

「ううん……」


そうだよ


陸先輩が、私なんか相手にするわけない。


タケルにも相手にされない私なのに。


たとえば今朝のキスが本当だったとして。


たまたま手頃な女が目の前にいたからしちゃっただけかもしれない。


何年も彼女いないって言ってたし……そういう事出来るなら誰でも良かったのかも……


「ありがと美波。かなり冷静になれたわ。」

「……大丈夫?」

「えぇ、はい。」


あぶないあぶない


危うく浮かれまくって、悲劇の赤っ恥ピエロになるところだったよ。
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