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だから僕とセフレになりませんか
第4章 ミルクティの憂鬱
知らない人だった。いかにもナンパです、っていう軽そうな男。
まあ、今のジンに似ているといえば似ている服装。顔は、ジンのほうがいいけど。
普段なら無視して歩くとこだけど私は丁寧に彼に返事をする。だってレイだから。

「ひとりじゃないです」

「じゃあなんで今ひとりなの?」

「煙草に行っちゃったの」

「それ、ひどくね? そんなやつ放っておいて俺と遊ぼうよ」

「いや、無理です」

「俺なら絶対君をひとりにはしないね」

名前も知らない軽そうな男は私の腕を軽く引いた。
思ったよりも強引なタイプだったらしい。
やっぱ、無視しておけばよかったなんて悠長なこと考えてたけど、どうやらそうもいかなくなって来た。


「ほんと、待たせてるんで。無理です」

この言葉の通じない彼と話して10分は経っていたと思う。
これが通じなかったら、まあ、柊木アヤノに戻って理論漬で開放してもらおうと考えた。

まあ仕方ないな。
一日レイになるつもりだったけどここは勘弁してもらおうと私の頭に彼から話してもらう理由を何フレーズか浮かべた。
喉をこくりとならし声を出そうとする。
そのときだった。

「それ、俺のなんだけど?」

急に後ろの方へ引き寄せられて何かにぶつかった。それがジンだというのは声でわかる。
今日一番よく聞いた声の今日一番の大きな声。ずっと静かに話していたのに。
なんだか少し怒ってるみたい。今日のジンは乱暴に話す、と思ってたけどそれより荒れていた。
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