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Complex
第2章 始動
土曜日の朝。
何も予定がないから、と目覚ましもかけなかったのにきっちり9時に目が覚めた。
ジムに通いだしてから、体を動かしたせいか仕事のストレスから解放されたせいか、24時を回ると自然と眠気が襲う。
お酒を飲まなくても清々しい気持ちで一日を終え、同じ気持ちで朝を迎えることができる。

朝食はごはんと味噌汁、干物と昨夜作った煮物の残り。
ゆっくりと朝食を食べられる毎日。
なんて、あたたかい。

けれど朝食を終え、洗濯や掃除も終わると突然手持ち無沙汰になる。

不動産会社で働く友香は基本的に平日休み。
土日に休むことなどない。

学生時代の友人はみな結婚して子育てに追われたり、独身の友人だって土日休みがほとんどで。
会う機会が減り、気がつけば連絡も取る頻度が減り。

そんな時に休みになった土曜日に、何をすればいいんだろう。

それでも友香は出かける準備をした。
久しぶりに仕事用ではなく化粧をする。
クローゼットを開け、逡巡したあとに頃合いの衣服に着替え家を飛び出した。

目的地は、ない。
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