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Complex
第2章 始動
翌朝、思い立って友香は美容院に予約を入れた。
日曜日の当日予約。
混んでいるだろうと予想していたけれども、すんなりと予約はとれた。

昼食を済ませると、去年買ったままクローゼットに眠っていたワンピースを手に取る。

体型が変わりだしてからは、なるべく肌が出ないように、いやそれ以上に、動くのが楽な服ばかりだ。
ワンピースはお腹のラインを隠してくれる。
脚は、、しかたがない。
少し高めのヒールでごまかせるだけはごまかそう。

いつもはそろえるだけで無頓着な友香が、ばっさり切る、と告げた時の美容師の顔は思い出すだけで笑いがこみ上げる。
けれど、美容師というのはやはりすごい。
本当にいいの?と何度も確かめた後の、あの嬉しそうに思い切りハサミを入れる顔。

「キレイになろうとする女性の手助けができるんだから、楽しくてしかたがない」

友香が問うと、真顔で答えられた。

帰り道。
軽くなった髪が風に揺れる。

それが、心地いい。

うなじを抜ける風に揺られて、毛先が首筋をなぞる。

友香は、なぜだか明日山口が驚く顔をするのを想像して、ほくそ笑んだ。
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