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第2章 始動

初日の今日はカルテの作成と、簡単に器具の説明を受けるだけで終わった。
説明だけ、と言われたけれど。
実際に試してみると、少し動いただけで息が切れる。
山口はその様子を見ながら明日からのメニューを作るのだそうだ。

ヨガやエアロビの教室もあるから覗いてみては、と言われたがそれを断り、家でもできるストレッチを教えてもらった。

備え付けの簡易なシャワーは思った以上に勢いがいい。
無心で頭からシャワーを浴び続けてしまった。

ゆっくりと清々しい気持ちで着替えを終えて更衣室を出ると山口が待っていた。
どれくらい待ってくれていたんだろう。
誰にでも、こうなのだろうか？

「お疲れ様でした。明日から頑張りましょうね」

笑顔で見送ってもらう。

ふとエントランスで振り返ると山口が友香よりも若そうな、スタイルのいい女性2人に囲まれていた。
山口の担当だろうか？
山口を気にいる女の子は多いだろう。
容姿や言葉遣い、あの二の腕。
もっと若くて自分に自信があったら、私もああして彼を意識していたかもしれない。

ああ、またネガティヴになっている。
友香は背筋を伸ばすと、山口の姿を打ち消すように自動ドアをくぐり抜けた。


明日から一ヶ月。
何かが変われるのだろうか。

でも、とても穏やかな気分。

友香は鼻歌でも歌いそうな気分で帰りの車を走らせた。