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月下美人
第3章 月下美人 -憧れ-
だが、床への衝撃はなく柔らかくそしてバウンドした。
倒れた先は、神田が使用しているベッドで、そしてりさを神田は受け止めていた。
「っっ!」
お互いにびっくりしすぎて、そして間近に見る目が合わさって離れられずにいた。
神田の腕がりさの頭の下にあり、腕枕されてそして、
ふたりとも何もいわない。
ただ見つめていた。
神田もりさを見つめるだけ。
りさも神田を見つめているだけ。
体が動かない。
ただ、自然と少しだけ少しずつだけ近づいていく距離に気がつかないふりをした。
それはりさだけなのだろうか。
「…ん、…」
すこしかさかさしていた。
触れた唇。
触れるだけじゃなくお互いの唇を合わせるように何度も繰り返し、繰り返し、触れ合わせた。
「ぁ、…ふっ」
どんどん互いに唾液で唇が湿ってきて、触れる度にくちゅっと言う音がお互いの唇から聞こえてくる。
「はぁ、ん…」
気持ちがいい。
ただ、脳内はその言葉で埋め尽くされてしまう。
もっと、もっとして。
りさはそろっと手を神田のすっとした顎ラインを人差し指と中指でそのラインを確かめるように触れた。
触れた指に感じたのは、男性の髭の感触。
神田が男だと指先から、感じた。
「ん…」
神田の唇から吐息が漏れた。
指で触っていたのを手の平で添えて唇をりさから押さえつけた。