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月下美人
第1章 月下美人 ープロローグー
片道二時間半、新幹線とタクシーを乗り着いた先は茶畑が広大ある場所に佇む事務所。
「来ちゃった…」
ぼそりとりさは、ため息混じりに呟いた。
事務所からは朝礼のチャイムが外まで聞こえ、りさははっと気がつき事務所から少し離れた。
「どうしよう、て言っても来ちゃったもん。あとは行動するしかない」
持っていた携帯からある人の番号を検索した。
電話を掛けるボタンに指を添えるがタッチするのを止めた。
「ここまで来たんだ、もうしょうがなあじゃん。やるっきゃない!」
添えていた指を画面にタッチさせた。
携帯の画面が相手に電話を掛ける動作をし始め、りさは慌てて耳に携帯をあてた。
プルルルー
出て、出ないで、出て…と交互に逆のことを念じながら呼び出し音を聞いていると、呼び出し音が止まり男の人の声が聞こえた。
「…はい?」
「あ、き来ちゃったじゃないですか!」
相手の声は普段低いのに寝起きなのか余計に低く声が掠れてはいた。
第一声なんて考えていなかったりさは、喧嘩腰に訴えた。