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純の恋人
第10章 国重一の後悔
「え?」
まだ、道は塞がれていない。純を一人差し出して丸く収めようだなんて、俺は絶対に許さない。全て確信した今なら――時さえ来れば、あいつを救える。
だが今は、その機じゃない。ひとまず俺は、ここから引く事にした。
「あの、国重さん、相棒って」
「分からないならそれでいい。日曜日、また来る」
土居晴久が犯人なら、こんな事を宣言すれば間違いなく日曜日の前に退院させるだろう。だが、それでも構わない。俺の推理が正しいなら、必ず純はここに来る。俺は戸惑う純を置いて、部屋から出ていった。
そして、日曜の夜。病室は案の定片付けられ、空室となっていた。が、部屋のベッドに腰掛け、純は神妙な面持ちで待っていた。
「こんばんは、国重さん。あの……私、昨日退院して、実家に帰ったんです。病院に来てもらっても、もういませんから」
「でも、お前は今ここにいるじゃないか」
「それは、国重さんが待ちぼうけになったら申し訳ないからで……あの、こんな風に会うの、正直困ります。国重さんの知る私と、今の私は違うんです。これ以上、関わらないでください」