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純の恋人
第10章 国重一の後悔
「純ちゃん、なんでこいつに会いに来たの? オレ止めたよね? なんで聞いてくれなかったの」
「晴久さん……もう、終わりにしましょう。嘘を吐いても、長続きなんてしません。警察に行きましょう?」
「なんで警察なんて言うの。オレはただ、純ちゃんが好きなだけなんだよ? なんにも悪い事なんてしてないじゃん」
「部屋に不法侵入したり、盗聴したり、強姦やひき逃げも悪くないって言うんですか!? それを正しいと思うなら、私と晴久さんの価値観はあまりに違いすぎて一緒には暮らせません!」
「だから、その男と浮気するの? そんなの勝手だよ、オレの事好きだって言ったくせに……!」
想像はしていたが、土居は全く会話が通じていない。純がどんな思いで話しているかも知らないで、勝手な気持ちばかり押し付ける。俺が手を離せば、間違いなく純はこいつの悪意に飲み込まれるだろう。もうこれは、一人でどうにか出来るレベルの人間じゃない。
「私……確かに晴久さん、いえ、イドさんが好きでした。私を支えてくれた優しいイドさんがあなたの中にいる事は、否定しません。普通に出会っていれば、普通の恋をしたかもしれません」