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言われてみれば、単純で。
第1章 おれのきもちはフクザツで。
キョーちゃんと俺は結構話すようになった。
そうは言っても話しかけるのは毎回俺なのだけれど。

3年生の俺たちには修学旅行という大イベントがあった。キョーちゃんに会わなかった3泊4日。
その間俺はキョーちゃんにお土産を買ったのでそれを渡した。

「キョーちゃん、これあげる」

「なんですか?」

「修学旅行のお土産」

「あ、修学旅行だったんですか。此処2-3日私の周りが静かだったのはそれのお陰ですね」

「…そうですね」

「お土産有難う御座います」

「ご当地キーホルダーです」

「変なお土産ですね」

「そう?」

「キーホルダーとか子どもっぽい」

「俺、まだ中学生だから子どもです」

「私もそうですね、子どもです」

「此処につけておけばかわいいと思って」

俺はキョーちゃんの通学鞄に自分の買ったキーホルダーをつけた。
何も付いてない飾り気のない、女子っぽくない鞄が少し明るくなった気がした。
その鞄を持ってキーホルダーを眺めるキョーちゃん。

「丹羽先輩。こんなところにつけたら少し邪魔です」

「俺みたいじゃない?」

「確かに邪魔なところが似てますね」

はは。言うね。まあいいけど。
それからしばらく経って、登校中の彼女を見かけたらあのキーホルダーが揺れていた。

気に入ってくれたかどうかは分からないけど、気に入らないわけじゃないことは分かった。
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